番外編 00.89




「エーリルー」
「ここでーす」


先輩があたしを呼んでいるので、届くように声を張り上げて返事をした。
気づいてくれればこちらに指導係の双子先輩がやって来る。


「どう?順調?」
「はい!見てください!Before!After!」


キレイに磨いた窓ガラスと、まだ手を付けていない窓ガラスを先輩達に見せます。ちょっと自信作。


「うん、バッチリよ」
「キレイねー、凄いわね」
「有難うございます」
「残りこれ一枚?」
「はい。すみません、時間掛かってしまいまして」
「そんな事ないわ」


昼過ぎからずーっと屋敷の窓ガラスを磨いてるんだけど量が多くて。隊員が使ってる部屋は各自清掃だから除外されたんだけど。凝り性の血が騒いで……。良かった、注意されなかった。


「それに後の二人到着したしね。他はその子達にやらせてるわ」
「到着したんですか…」


あー、ついに来たんですね、あの二人。
このまま騎士になったのバレないままだと思ったのに。最後の最後に赴任先が同じになるなんて。絶対後で尋問だ、私。


「後で、――たぶん夕食後になるかと思うけど紹介するから」
「お願いします」
「片方はいい子そうなんだけど、もう片方、すっごい口も態度も悪い奴だから、なんかあったらすぐに私達に言うのよエーリル」
「解りました」


もう既になんかやらかしたみたいだ、あの男は。
知り合いなんですって事は、まだ黙っておこ。


「ああ〜、ほんと思い出せば思い出すだけ腹が立つー!あいつぅー!」
「ヒスカ…、落ち着いて…。後輩が見てるわよ」
「エーリル!」
「はい!?」

先輩が私の両肩を掴みました。顔が寄ってきます。

「エーリルはああなったらいけないわよ!いい子でいてね」
「は…はぃ…」


掴む手、めっちゃ力入ってます。先輩、怖いです。えぇっと、ヒスカ先輩だっけ?どっちだっけ!?


「エーリルはこれが終わったら食堂が開く時間だろうし、本日の業務終了で良いわよ」
「はい!有難うございます」

解放された…





00.89 --



「ちゃんと在ったとこに掃除用具戻しといてね」
「食堂の場所は分かる?」
「昨日覚えましたので大丈夫です」
「じゃあ私達まだやることあるから」
「お疲れさま」
「お疲れ様です」




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